マイホームを検討している人の中には、高級感やデザイン性を感じられる高い天井の部屋に憧れる人は多いのではないでしょうか。
ただ、天井高を2,700mmにすることで「後悔した」という声も、ネット上でちらほら見受けられます。
ここでは、高天井化することのメリットとデメリットを掘り下げていきます。
天井高2700は後悔するの?
天井高2,700を後悔するのかを考えるには、2,700mmという高さを把握する必要があります。
それを考えるための参考情報としては
- 一般的な天井高は2,400mm
- 建築基準法の規定天井高は2,100mm以上
といったことがあります。
2,700mmという数字は「開放感を感じられる高さ」と言えます。こういった情報をもとに「後悔する」理由を検証していきましょう。
天井高2700は後悔すると言われる理由
空調が効きにくい
天井が高いことで空間が広くなり(体積が増える)、空調の効率が悪くなります。特に、暖かい空気は高いところに移動しやすいため、天井が高くなることで足元が温まりにくくなります。
結果、部屋全体の空調を調整するのに時間がかかる上、光熱費が上がってしまいます。
空調の効率を優先するのであれば、天井の低いコンパクトな部屋の方が良いでしょう。
既製品のカーテンや照明が使用できない
既製品のカーテンや照明器具は一般的な住宅の天井高に合うように設計されています。そのため、天井高2,700の部屋にはサイズが合わなかったり違和感が出たりします。
サイズの大きいカーテンを購入、もしくはオーダーメイドしたり、ペンダントライトの場合はコードの長さにも気を使わなければなりません。
結果としてコストがかさむことになります。
掃除や照明の交換が大変
天井高があると、思いのほか掃除の手間がかかります。
ペンダントライトやカーテンレール・窓、エアコンフィルターなど、天井近くにあるものは脚立に上らなければ届きません。高く上るほど掃除は面倒になるでしょうし、転落の不安も出てきます。
女性や子供など背の低い方には一層不便に感じるのではないでしょうか。
天井高にあったドアや窓が少ない
一般的な天井高に合わせたドアや窓を選択すると、壁の余白とのバランスがとれず、思うような内装デザインにならない可能性があります。
天井高2,700mmの部屋に合わせるには窓やドアをオーダーメイドしたり、通常より高価な商品を選ばなければならない場合も多く、コストの増加につながります。
音が反響しやすい
空間が広がることで音が反響しやすくなります。
生活音や話し声が響き過ぎると不快に感じられることが多く、集中できなかったり休憩を妨げてしまったりします。
音に敏感な方は特に気を付けたいところです。
建築のコストがかかる
天井が高いと柱・外装材から石膏ボードや壁紙などの内装材まで、資材の使用量が増えます。加えて高所作業も増え、材料費・人件費の両面からコストが上がってしまうのです。
天井を高くすることは建築コストがかかることに直結し、住宅購入の予算に影響するでしょう。
落ち着いてリラックスできない
通常よりも天井が高いことは解放感につながりますが、人によっては逆に高すぎてリラックスできないという可能性もあります。
リビングでは天井高の高さも気にならないかもしれませんが、寝室や書斎で必要以上に天井が高いと落ち着かないかもしれません。
モデルハウスなどで、実際に天井高の高い部屋でリラックスできるか確認できると安心です。
天井高2700に関する口コミ・体験談
天井が高い家に引っ越したら、気持ちがとても開放的になった。
— サピリコ (@Sapi202109) May 30, 2022
天井の高さは豊かさだな!
家を建てる時に義母が「絶対に天井が高くないと嫌だ」とゴネたので、一階の天井高は280cm(一般的には240位?)無駄に天井が高くてLDにいると落ち着かない。そこまで広い部屋じゃないのに天井だけ高いからアンバランス。そして冬は寒い。今日は寒すぎて、みんな2階の自室にこもってしまった。#同居
— MARCH(同居嫁) (@dtxjw703) December 5, 2020
【ブクマ推奨】
— いちか@平凡主婦のお金の話 (@IchikaMoneytalk) September 18, 2023
玄関の吹き抜けが明るく開放感があって、天井高のあるリビングが気持ち良い!ってことで
主人が惚れ込み移住を決めた今の住まい
夏場は最高なんだけど、冬場の寒さがホッキョクグマもビックリの木造住宅
今から冬の光熱費が怖いので節ガスの勉強しました!
お役に立てれば嬉しいです! pic.twitter.com/T7yZAkhp91
天井を高くして良かったというコメントが多数見つかる中、「落ち着かない」「寒い」といった意見も見受けられます。
冷暖房の性能などの機能面は設計してもらう際に充分な打ち合わせが必要と思われます。
天井高2700についての基本情報
天井高2,700mmを検討するうえで必要な費用や、どういった設計が可能になるのかなど、基本的な情報を紹介します。
天井高2700の費用
新築注文住宅の場合、一般的な天井高である2,400mmから2,700mmに変更するには、おおよそ坪2万円程度必要と言われています。
そこから想定すると、一室の変更に10万円~20万円程度、家全体を変更する場合は80万円(40坪)~200万円(100坪)程度かかると考えられます。
もちろん、これらの数値は目安であり、構造や仕上げの仕様によっても変動がありますので、希望のハウスメーカー等への相談が必須と言えるでしょう。
天井高2700のオプション費用
大手ハウスメーカー・工務店などではリビングの標準仕様天井高とオプションによる天井高を定めている場合が多いです。
標準仕様の天井高2,400mmに対し天高オプションとして2,700mmを設定しているハウスメーカーには、
- スウェーデンハウス
- パナソニックホームズ
- 住友不動産
- セルコホーム
などが挙げられます。
ただし、オプション費用として平米単価や坪単価として明確な金額を表記しているメーカーはほとんどありません。
前述の内容で「坪2万円程度」と記載しましたが、間取りや仕上げ材など、様々な要素で費用は変動します。実際に設計してみないと金額が出ないというケースがほとんどであると言えるでしょう。
天井高2700のハイドア
通常の室内用ドアは2,000mm(2メートル)程度のものが多いです。
「ハイドア」とは一般的なドアよりも背の高いドアのことを指し、床から天井まで達するように天井高で納めたドアを指すこともあります。
通常の3方枠ではなく、上枠が無い「2方枠」仕様のものもあり、一層開放感を演出できます。
高さ2,400mmから2,700mmまで対応できるのが標準的とされますが、2,700mmの場合はメーカーによってはサイズ変更(オーダー)で対応することになります。
天井高2700の窓
高い天井の部屋に大開口の窓を採用すると屋外との一体感を感じられ、一層の開放感を体験できます。
各有名サッシメーカーでは高さ2,700mmに対応した大開口モデルが存在し、床から天井まで開口とすることも可能です。
ただし、規格のサイズではなくオーダーメイド扱いになり、余分に費用がかかることを想定する必要があります。
また、高い天井の部屋ならではの窓設置方法として「高窓」という選択肢もあります。
高い位置に窓を設置することでプライバシーを保ちながら採光・換気ができます。壁面を有効に活用したいという方にもおすすめの形です。
ただし、手が届きにくく掃除が難しいというデメリットもあります。
天井高2700のメリット
開放的な間取り
天井が高いと圧迫感が減り、開放的な間取りにできます。
狭い(床面積の少ない)部屋でも広く見せることができるでしょう。
ただし、極端に狭い部屋で天井が高いとバランスが悪くなるので注意が必要です。
採光が取れる(部屋が明るくなる)
天井が高いことで高い位置に窓を設置できます。それによって採光がしっかりとれて、明るい部屋になります。
部屋の明るさは精神的にも良い傾向にあり、居心地の良い空間にできるでしょう。
通気性が良い
昨今、換気機能は重要視される方も多くなったと思いますが、天井が高いと窓を大きくすることが可能になり、通気性を良くすることができます。
また、窓を高い位置に設置することで、外からの視線を遮りつつ換気することも可能になります。
デザイン性
壁に余白が出て、インテリアが映える空間になります。
ドアも天井までの高さのフルハイドアにして、ホテルのような洗練された印象にすることも可能です。
天井が低い場合のメリット
建築コストを抑えられる
天井高が低い方が壁面積を減らすことができるため、壁に使用する石膏ボードや断熱材などの建築資材の量を減らすことができます。
また、作業日数も減らすことも期待でき、総合的に建築コストを抑えられるでしょう。
光熱費を抑えられる
大きな空間は冷やす場合も暖める場合も多くのエネルギーが必要になります。
同じ床面積の場合、天井が低い方が冷暖房の効きが良くなり、光熱費を抑えることができるでしょう。
落ち着きを感じられる
天井が高いと開放感を感じるという人は多いのですが、一方で天井が低い方が落ち着くと感じる人もいます。
特に、就寝時は低い天井の方が安心感があるという声も多く、寝室には高天井を採用しない方が良いかもしれません。
建物全体の高さを低くできる
天井高が低いと建物全体の高さを低くすることができます。
柱などの構造材にはじまり、階段や外装材などあらゆる建材のコストを削減できるでしょう。
天井が低くても部屋を広く感じさせるコツ
ここまでで紹介したように、天井を高くするということはデメリットも存在するので、断念する方もいるかと思います。
では、天井を高くせずに部屋を広く感じさせるにはどのような工夫をすれば良いのでしょうか。
大開口の採用
大きな窓を設置し、大開口とすることで、外の景色に視線がいき、空間に広がりを感じさせられます。
それにより開放的な空間を演出し、部屋を大きく見せることができます。
床から天井までを開口することで外との境界が曖昧になり、一層開放的にできますが、プライバシーに留意して設計する必要があります。
吹き抜け・勾配天井を造る
吹き抜けや勾配天井を部屋の一部に導入すると、上階まで天井がつながり開放感が生まれます。
リビングや玄関に吹き抜けや勾配天井があれば開放感はもとより、デザイン性の向上にも有効と言えるでしょう。
ただし、天井高を上げるのと同様に建築コストがかかるので、予算の削減には不向きな方法です。
天井・壁の色の工夫
白やパステルカラーなどの淡い・明るい色は「膨張色」と言われ、物体(空間)を大きく広く見せる効果があります。
なので、天井や壁の色を明るい色で統一すると、空間を広く見せられます。
カーテンを天井付けに
カーテンレールを天井付けにすると、目線が上に上がることで天井が高く見え、部屋を広く感じさせることができます。
カーテンレールを天井に埋め込むことができれば、よりスッキリとして広く見せることが可能です。
「天井高2700 後悔」を検索する人がよく思う質問4選
まとめ:後悔する声もあるがメリットもあるのでしっかり検討を!
ここでは天井高2,700mmのメリットや後悔するポイントなど紹介してきました。
「後悔した」と言われる高天井の部屋に関してのデメリットは、建設費や光熱費など、ほとんどの要素が「コストの悪さ」に繋がっているように感じられました。
ですが、2,700mmの天井はデザイン性や開放感といった感覚的なものの他にも、採光や換気性能の向上などの機能面でのメリットも得られるものであることも事実です。
求める快適性とコストのバランスを考えることが、後悔しないためには大切と言えるでしょう。
希望するハウスメーカーと、契約前の段階からしっかりと打ち合わせ・相談を重ねていくと良いでしょう。