ドア(開き戸)や引き戸、窓などに存在する隙間を塞ぐ「隙間テープ」は風や熱・冷気の侵入を防いだり、防音効果を高めたりできる便利な商品です。
ホームセンターなどで気軽購入できる隙間テープですが、材質や形状にも色々な種類が存在するため、いざ取り付けようとするとどれを買ってどのように貼るのか、迷ってしまうかもしれません。
ここでは特に引き戸への隙間テープの貼り方について、実際に貼り付けるとなった場合の効果的な方法や注意点、テープの種類の選び方など、仕上がりの質を上げるコツを紹介していきます。
引き戸の隙間テープを貼る場所は?
引き戸の隙間テープを貼る場所
引き戸の隙間テープを貼る場所で最初に思いつくのは、戸と枠と接する「戸当たり」の部分ではないでしょうか。
本来建具(戸)と建枠が接する戸当たりは、隙間なく閉まるように作られていますが、経年によって建物の建てつけが悪くなってくることで隙間が発生しやすい場所でもあります。
また、テープの量に余裕があれば戸だけではなく枠にも貼ると一層気密性が増します。戸を閉めた際に戸と枠で噛み合うように貼ると良いでしょう。
他にも、上下のレールの隙間が隠れるようにして建枠(鴨居・敷居)に貼るのも効果的です。
隙間テープの貼り方
隙間テープを貼る際は、その他のシールや粘着テープなどを貼るときと同様、しっかりと貼りつくように貼る面のホコリや汚れなどを拭き取ります。
そして、粘着面のはくり紙を少しずつ剥がしながら貼っていきます。
一度に広範囲を貼ろうとすると意図しないところに付いたり曲がったりと、まっすぐに貼ることが難しくなります。
10~15cm程度ずつ、はくり紙を剥がしては貼り、剝がしては貼りを繰り返し、丁寧に貼るようにしましょう。
引き戸の隙間があく原因は?
先にも触れましたが、引き戸の隙間ができる一番の要因は「建物の経年劣化」です。
新築時にはきっちりと合っていた建物の水平・垂直部分が、部材の変形や地盤沈下などによって色々な部分が曲がってくると、枠と戸の角度も合わなくなり、開け閉めがきつくなったり隙間ができてきます。
それほど年数が経っていないのに同様に隙間ができてしまう場合もありますが、その理由は地盤の悪い土地である場合や、施工不良などである可能性もあります。
引き戸の隙間を埋める方法は?
隙間が発生している面の端から端まで隙間テープを貼れば、引き戸の気になる隙間も埋められます。
その場合、隙間は均一ではないでしょうから、全面ピッタリにフィットするよう収縮性の高い柔らかな素材のテープを選ぶと良いでしょう。
その他、戸と建枠の両方に隙間テープを貼るのも効果的です。
閉めたときに戸と建枠の隙間テープが噛み合うようにすることで、大きな効果が期待できます。
引き戸の隙間テープ効果について
比較的安価であり、気軽に試せるものでありながら様々な効果が期待できることも隙間テープの魅力です。
隙間テープの代表的な効果を紹介します。
隙間風対策
室内で暖房をつけていても、隙間があることで冷え切った隣の部屋の冷気が入り込んでしまったり、逆に暖気が隙間から逃げてしまうと暖房効率が落ちてしまいます。
隙間を塞ぐことで部屋の気密性が上がり、暖房器具の省エネを期待できます。
これは冷房の効率を上げたい場合も同様のことが言えます。
防音対策
音漏れを左右するものとしては壁や建具の質(厚みや密度)などによるところが大きいのですが、戸やドアの隙間からの漏れというのも無視できません。
隙間テープの素材の中には吸音効果があるものも存在します。
そういったもので隙間を塞げば、音漏れの軽減に効果的と言えるでしょう。
虫対策
虫はあらゆる隙間から侵入の可能性があります。
部屋の隙間を埋めることは虫の侵入経路を減らすことになり、一定の虫よけ効果を期待できると考えられます。
隙間テープの種類と選び方
隙間テープにもいろいろな種類があります。
性能差だけではなく形状によって用途も違ってくるので、必要な箇所に適合するものを選びましょう。
隙間テープの種類
ウレタン(スポンジ)製
隙間テープというとこれを連想する人も多いであろうスタンダードなテープで、100円ショップでも購入できるほど安価で入手しやすさも一番です。
耐久性が低く、擦れる箇所に貼るとあっという間にボロボロになってしまいます。
クッション性が有るので戸を閉めるときの音(戸当たりと枠が当たる音)の解消には有効ですが、防音性能は低めです。
ゴム・シリコン・樹脂製
中に空洞が有るゴム製の隙間テープです。
断面の形状によって「P型」や「D型」など、アルファベットに例えて呼ばれたりします。
空洞部がへこむので柔軟に隙間を塞ぐことができます。
一方でドアの下部などの大きい隙間・擦れが発生する場所には不向きです。
モヘア(毛)製
風呂場の引き戸・網戸などに使われることが多いのがモヘアタイプです。
断熱性や気密性は低いですが、隙間に柔軟にフィットし、虫の侵入を防ぐことに長けています。
EPDMゴム製
耐候性・耐熱性・耐寒性・耐久性などいずれも高い「EPDMゴム」を使用した隙間テープです。
「ゴム」とありますがスポンジのような伸縮性もあり、隙間にもフィットしやすいです。
気密性も高く、防音・防振効果も期待できるでしょう。
隙間テープの選び方
隙間テープにも様々な形状や材質がありますが、「なぜ隙間を塞ぎたいか」「どこの隙間を塞ぎたいか」を考えることで商品を絞り込むことができるでしょう。
パッケージにもその商品の特徴が書かれていることが多いです。
例えば、虫の侵入を防ぐことが目的であれば毛(モヘア)のテープ、防音性能を重視したいならEPDMゴムのテープ(有名な名称で「エプトシーラー」があります)など、必要な商品をしぼっていけるかと思います。
また、貼る箇所によって選択肢が限られてきます。
建具(戸)の下部に貼る場合、擦れに弱かったり滑りが悪くて戸が締めにくくなるものは使用しない方がいいです。
下記のような、擦れることを前提に作られたドア下専用のテープもいろいろな素材で販売されています。
引き戸下の隙間風を隙間テープで対策する場合
和室などに付いている昔ながらの引き戸は、戸と敷居の間に隙間が無い場合も多いですが、下にレールが無い「吊り戸」形状のものはドアと同様に下部に隙間があります。
その隙間を塞ぎたい場合、戸の下端に隙間テープを貼るには戸を外さなければならず、建具メーカーの説明書を見ないと手こずることもあるかと思います。
また、隙間が出来ずなおかつ擦れ過ぎない高さのものを用意するのも難しい場合があるでしょう。
手軽に貼り付けられるのは前述したドア下専用のテープです。
見栄えを気にしないのであれば戸ではなく床に貼るという方法もあります。
スライドドアに隙間テープを貼る場合
一般的に「スライドドア」と「引き戸」は同義です。
1枚の戸を開け閉めする片引き戸、2枚の戸が交差する引き違い戸、中央から2枚の戸を左右に引き分ける引き分け戸など、総じてスライドドアと呼べるものです。
戸と戸の隙間もしくは戸と枠の隙間に貼る、戸当たり部に貼るなど、形状が違っても貼る場所には共通するところが多いです。
引き戸と引き戸の隙間をなくしたい場合
引き戸の場合、戸と戸の間にも構造上わずかな隙間が発生します。
このわずかな隙間に合う寸法の隙間テープを探すのはなかなか難しいです。
無理に厚みのあるテープを貼ると開け閉めに支障が出たり、テープがすぐに剥がれてしまったりします。
そんなときには、引き戸同士の隙間に貼ることを想定した隙間テープを使用しましょう。
薄手のポリウレタン製で素材自体が柔らかく、空洞部が隙間幅に合わせて柔軟にフィットします。
引き戸が斜めになって隙間が出来るときの対処法は?
建て付けが悪くなってきて隙間の幅が均等でない部分の隙間を塞ぐには、クッション性が高く反発が弱い(やわらかい)材質の隙間テープを貼るのが有効です。
紹介した中ではEPDMゴム製のものが該当します。
ウレタン製のテープはクッション性はあるものの、反発が強いと隙間が残る可能性が高いです。
ウレタン製テープを貼る場合は建具と建枠の両方に貼り、ピッタリ噛み合うようにすると良いでしょう。
引き戸の隙間テープを購入できるところは?
隙間テープはホームセンターや家具専門店で購入できる他、amazonやYahoo!ショッピング・楽天市場などのネットショップにも多数出品されています。
また、ウレタン製などのリーズナブルなものはダイソーやセリア・キャンドゥといった100円ショップでも販売されています。
「引き戸 隙間テープ 貼る場所」を検索する人がよく思う質問4選
まとめ:隙間テープは用途にあった種類や貼り方を!
ここまで、引き戸を中心とした建具への隙間テープの貼り方や選び方を紹介してきました。
隙間テープとひとことで言っても材質も様々なうえ、形状にもバリエーションがあることがわかったのではないでしょうか。
基本的には、隙間を塞ぐことができればそれは正しい貼り方と言えます。
そこに断熱や防音、虫よけなどの自分がこだわりたい機能を検討し、商品を選ぶようにすることで、満足のゆく室内環境を作ることができるでしょう。
注意点としては、表面の生地や仕上げ(塗装など)によっては長期間テープを貼ることで仕上げが痛んでしまう(剥がれてしまう)場合があるということです。
特に賃貸住宅の場合は退去時に原状回復の必要が有り、指摘される可能性があります。
塗装や壁紙が貼られている面に粘着力の強いテープを貼ることは極力避けましょう。