家電や車、服など、私たちの身の回りのアイテムのカラーバリエーションには、かなりの確率で「黒」が入っているように思います。
落ち着きや高級感等を感じられる黒は、古くから日本人に好まれてきた色。
今この記事を見てくれているあなたの視界にも、たくさんの黒が存在しているはずです。
では、家の外壁の場合はどうでしょう?
これだけ親しまれ、和洋いずれにも合わせられる「黒」ですが、住宅の外壁としてのシェアはまだまだ少なめです。
実例が少ないだけに注意すべき点も色々あり、「黒にして失敗した」という意見をネット上でも見つけることができます。
ここでは黒い外壁の特徴、短所や注意すべきことをご紹介します。
外装デザインや外装材選びの参考になれば幸いです。
新築の外壁を黒にして失敗した理由は?
では、新築の外壁を黒にして失敗した理由は具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
以下にまとめてみました!
キズや汚れが目立ってしまう
「周囲の色を際立たせる」という黒の特徴が裏目に出てしまうという例がこちらです。
雨水の汚れ等による黒ずみや苔等、黒っぽい汚れは目立たない黒い外壁。
ですが、汚れというのは意外に白っぽいもの・明るい色の物も多いのです。
クモの巣や鳥のフン、粉塵等は非常に目立つので、気になる方はまめな掃除を心掛けたいところです。
また、黒い外壁に傷が付くと、基材の色が白っぽい事が多いため、非常に目立ちます。
サイディングには、専用のタッチアップ塗料が用意されていることが多いので、どうしても気になる傷が出来てしまったときは施工会社に相談してみましょう。
色あせしやすい
黒色は退色しにくい色ではあるのですが、一方で太陽光からの紫外線を吸収しやすいという特徴もあるため、退色より先にツヤが無くなっていきます。
結果、色あせた感じになってしまい、劣化を感じてしまうのです。
日当たりが良い土地の場合、その影響は大きいと考えられます。
紫外線への強さも考慮して外装材を選んだ方が良いでしょう。
熱を吸収してしまう
黒はひときわ熱を吸収しやすい色です。
さらに、黒の外装材で人気が高いガルバリウム鋼板製のサイディングとなると、金属であるため熱伝導率が高く、あっという間に高温になってしまいます。
夏季には不用意に触れないよう注意しましょう。
外壁の下地には断熱材が入るので、室内にダイレクトに熱が伝わるわけではありませんが、断熱材を高性能なものにする等の検討は必要かもしれません。
周囲になじまない
現状、日本の住宅は白や明るい色(淡色)が圧倒的に多く、黒の家は良くも悪くも目立ちます。
周囲の景観を考慮してデザインしないと、「浮いている」感が出てしまうかもしれません。
地域によっては、外壁の色に制限をかけていることもあり、浮く・浮かない以前に黒を使用できない可能性も。
どうしても黒が良いのであれば、土地選びの段階で(契約前に)不動産会社やハウスメーカーに相談しておいた方が良いでしょう。
蜂の巣が作られる
キャンプや登山が趣味の方には、黒いウェアを敬遠する人が多いそうです。
その理由が、「蜂は黒が好き」という事実。
蜂が寄ってきやすいだけではなく、巣を作られる事例も報告されており、駆除をするにも業者を呼ぶと費用がかかります。
下記でも触れる、近所迷惑にもつながります。
隣人から苦情がきたり迷惑がられたりする
前述した「周囲になじまない」「蜂の巣が作られる」といったことも含め、近隣の住人から不快に思われることもあります。
黒い外壁が光を吸収するため、窓からの光が届きにくくなり、「暗くなった」と感じさせたり、「圧迫されている」と感じさせてしまったりするようです。
狭い土地の場合等、隣接するお宅との距離が近い場合は特に、相手に寄り添った十分な配慮が必要と言えます。
外壁を黒にして良かったことは?
外壁を黒にして良かったことについて、以下にまとめてみました!
おしゃれに見える
外壁を黒にしたいことの理由は、やはりこれに尽きると思います。
現状、住宅では少ない黒の外壁ですが、店舗等には古くから広く使われてきており、和モダンやスタイリッシュ系のデザインを希望しているなら、黒は取り入れたくなる色といえるでしょう。
黒い汚れが目立たない
黒ずみや苔等、黒っぽい汚れが気になりません。
主要道路に面しておらず、粉塵がかかる(=白い汚れが付着する)ことが少ないなど、周囲の環境によっては掃除の頻度を減らせる可能性があります。
他の色に合わせやすい
多くのデザインで使用されている白×黒のツートンにはじまり、無彩色の黒は多くの有彩色を引き立てる色です。
- 情熱的な「赤」
- 落ち着きの「青」
- ポップな「黄」は黒と合わせると攻めた目立つ組み合わせに
などなど、基本、黒と相性の悪い色はありません。
ただし、明度・彩度が低すぎると黒一色のときと同様、重くなりすぎるので注意しましょう。
新築の外壁を黒にする際に注意することは?
新築の外壁を黒にしよう! と思っても、失敗したくないですよね・・・
ここでは、新築の外壁を黒にする際の注意点をまとめてみました!
黒のみの色にしない
住宅の外壁全体を黒にすると、「重い」「暗い」「威圧」といった負の印象が強くなります。
白系と組み合わせて無彩色でまとめたり、木目と合わせてモダンに仕上げたりと、デザインを工夫することが必要です。
黒は他色を引き立てるのに適した色。
多くの色と相性が良いことを上手に利用しましょう。
黒の特徴をあらかじめ確認する
「色の効果」で言うと、黒は
- 小さく
- 引っ込んだように
- 重く
- 堅く
感じさせる色です。
敷地を広く感じさせる、がっちりとした家に見せる等のプラス効果を有効利用したいところです。
濃すぎる黒を使わない
ひとくちに黒といっても、バリエーションは様々。
濃すぎない色・マットな質感の方が、スタイリッシュに見える傾向にあります。
外装材・塗料のカタログを吟味して、理想の黒を検討してみましょう。
周囲に配慮する
採光を妨げないようにするため、隣接したお宅の壁(窓)と対面する壁面に黒を多用しない、周囲の景観とのバランスを考えデザインするなど、広い視野で考えて黒を使用すると、後のトラブルにつながらずにすみます。
黒塗料のタイプが少ない
現在、外壁に使用する塗料には、様々な機能性を付加した「高性能塗料」が存在します。
が、実は一部の高性能塗料には、黒や他の濃い色のラインナップが存在しません。
理由は、色そのものが持つ効果が関係しており、「遮熱・断熱」などの機能は熱を吸収しやすい黒や濃い色には相性が悪く、対応できないと考えられるからです。
他、光触媒塗料(セルフクリーニング機能)やラジカル制御系塗料(塗膜劣化軽減)なども、濃い色のラインナップがある製品は少ないです。
機能性を取るか、あくまでデザイン重視でいくかという苦渋の選択を迫られるかもしれません。
色あせを考慮する
濃くてツヤのある黒ほど紫外線の影響を受けやすく、色あせや劣化の影響が目立つ傾向にあります。
ツヤが少なく、深すぎない仕上げの方が色あせ・劣化も少ないうえ、和洋どちらにも合う落ち着きある仕上がりとなり、使いやすいでしょう。
外壁塗装の見積もりをしてもらう
外壁の仕上げを塗装と考えている場合は、早い段階で見積もりをお願いしておいた方が良いでしょう。
白系・淡色が多い日本の外装事情から、外壁を黒塗装している例はあまり多くありません。
つまり、塗装屋さんにも黒塗装の経験者が少ないということになります。
日塗工の色見本等で綿密な色合わせを行い、ツヤの具合・塗料の種類(機能性・耐久性)を選び、明確な見積もりをしてもらうと、不安やトラブルを避けられます。
新築の外壁におすすめの色は?
地域・近隣問題や建材の機能性、汚れの目立ちにくさ等の様々な条件から、ネイビーやダークグレーなど、黒以外の暗めの色をお勧めしているサイトや業者も見かけます。
ただし、建て主であるあなたが納得できずに、結局「失敗」と感じてしまっては意味がありません。
要はハウスメーカーや設計士との早めの打ち合わせが重要かと思います。
屋根・外装材の他、サッシやドアなどの建具類の色バリエーションも確認し(黒のラインナップが無い場合もある)、途中で行き詰らないように話し合いを重ねて下さい。
「新築 外壁 黒 失敗」を検索する人がよく思う質問4選
まとめ:黒い外壁のデメリットも予め確認しておこう
スタイリッシュさやモダンを演出するのに有効な「黒」。
デザイン的な魅力の大きい色ながら、住宅の外装としてのシェアはまだ少なめ。
なにかと不安要素はあると思います。
しかし、他の条件を検討することと同様に、綿密な打ち合わせを行っていけば、「こんなはずではなかった…」という、いわゆる”失敗”にはならないと思います。
ここで記載してきたデメリットを把握したうえで、どういった対策を講じるか。
ざっくりとした「黒がいい」というイメージから、ハウスメーカー・設計士らと打ち合わせを重ねて、明確な完成イメージ(できればパース)を固めていきましょう。