既存の窓の内側にもうひとつの窓を設置する「二重窓」は、現行の樹脂サッシに比べて断熱性の低いアルミサッシの窓部でも比較的手軽に機能性を向上できるリフォーム手段として人気が高いです。
そんな中、二重窓にすることでカーテンが要らなくなるのではないかという考えを持っている人も多いようです。
ここでは二重窓のメリットやデメリット、加えてカーテンが必要になる理由なども紹介していきたいと思います。
二重窓はカーテンいらない?
既存の窓に比べて機能性が向上する二重窓ですが、それでもカーテンを使用することでメリットは存在します。
決して「二重窓にすればカーテンが不要になる」ということはありません。
二重窓は断熱性や防音性において優れた窓ですが、カーテンの機能・性能をそのまま担えるというものではないからです。
二重窓にカーテンをつけた場合の効果
それでは、カーテンを取り付けることで得られる効果を改めて紹介していきましょう。
二重窓の外から見えないようになる
二重窓には断熱性や防音性に優れているという特色はありますが、屋外からの視線を遮る効果はありません。
いずれかのガラスを型ガラス(すりガラス)にしている場合は緩和できますが、それでもシルエットが見えてしまうことは避けられません。
カーテンを取り付ければ外からの視線を遮ることができます。
光を通すレースカーテンでも、日中の視界はある程度遮れるでしょう。
光が入らないようにする
窓はガラス面から光を透過します。それは二重窓でも同様です。
光を遮断して快適な睡眠環境を作る必要がある寝室や子供部屋などには、光の入り具合をコントロールできるカーテンの取り付けが必須と言えるでしょう。
また、テレビを見る際に光が画面に映りこむのを防げるため、リビングへの取り付けも有効と言えます。
高性能な遮光カーテンを使用すれば、一層効果的です。
冷暖房費の節約になる
二重窓には断熱効果がありますが、カーテンを併用することで断熱効果を向上させることが期待できます。
カーテンを取り付けると、窓とカーテンの間に空気の層が作られ、外気との温度差を和らげられます。
カーテンによって暑い日の日射熱の遮断や寒い日の冷気の侵入の緩和などができるので、冷暖房の効率が良くなり、光熱費の節約につながります。
カーテン自体に断熱性能をうたっているものもあり、それらをセレクトするとより効果を期待できるでしょう。
二重窓にカーテンがいらない場合は?
逆に、カーテンがいらない・取り付けなくてもよいケースを考えてみましょう。
【外からの目線が気にならない場所】
・高い位置の窓や小さい窓、対面に建物(窓)・人通りが無い場所
【日ざしや熱の入りが気にならない】
・日の当たらない面や熱さ・寒さが入らない・気にならない位置や大きさの窓
【内窓が型ガラス(すりガラス)】
・ただし、大きな窓・人通りがある場所・日ざしが強い場所・よく開け閉めする場所の場合は除く
以上のような場所の窓には、カーテンの取り付けをはぶくことも可能かと思います。
例えば、洗面所やトイレなどにある小さな窓にはカーテンを設置している例は少ないです。
透明ではない「型ガラス」はカーテンの代わりになりそうですが、実際には室内の人の動きは見えやすく、目隠し効果としは不完全です。
また、当然ながら開けている間は丸見えになってしまいます。カーテンの方が安心感はあると言えるでしょう。
二重窓にカーテンを上手に取り付けるためには
二重窓にカーテンレールをつける方法
二重窓を取り付けることで壁から窓枠が飛び出す形になります。
場合によってはカーテンレールが干渉することも考えられます。
二重窓にカーテンレールを取り付けるには注意が必要です。
- 内窓・外窓間にカーテンを設置
- カーテンボックスの設置
- 内窓ブラケットスペーサーを使用
既に施工済みの二重窓にカーテンレールを取り付ける際には、こういった方法でカーテンレールが二重窓のふかし枠に干渉することを回避し、設置することが可能になります。
内窓にカーテンボックスを取り付ける方法
カーテンボックスは元々、カーテンレールを隠してスッキリとした見た目を実現するものです。
カーテンボックスを取り付けた上でボックス内にレールを取り付けるようにすることで、窓との取り合いが調整しやすくなるというメリットもあります。
カーテンボックスには天井取り付けタイプと壁面取り付けタイプがあります。
いずれの場合も落下を防ぐため、下地のある所にビス止めするか、難しい場合は仕上げ材の材質に合わせたアンカーを使用しましょう。
二重窓の間にカーテンをつける方法
窓の形状によりますが、内窓と外窓の間の上枠にカーテンレールを設置する方法があります。
この方法が可能であれば、カーテンと窓の間に空気層が作られるため、熱の出入りを効果的に防ぐことができます。
カーテンの幅を窓幅より少し大きめにし、隙間ができないようにする他、カーテンの丈も隙間なく、かつ引きずらないピッタリの長さにする必要があるなど、カーテンの購入・製作には細心の注意が必要になります。
カーテンの丈を調整する方法
カーテンの丈は、窓の高さより少し余裕をもって長くしておくことが大事ですが、長すぎて床にたまってしまうと汚れやすくなります。
カーテンを購入するときは窓の幅はもちろん、窓の高さも計測しましょう。
窓の高さ+10~20cmが適切な範囲と言われています。
適した長さが既製品に無い場合は、カーテンフックの位置で調整したり、カーテンの裾を折り返したりして調整できる他、購入店舗によっては有償で丈をカットしてくれるでしょう。
二重窓にロールスクリーンをつける方法
二重窓にロールスクリーンを取り付ける場合は、内窓のふかし枠に干渉しないように取り付けなければいけません。
前述した内窓ブラケットスペーサーを使用したり、天井に取り付けることで対応できます。
二重窓におすすめのカーテン
カーテンにも色々な機能を備えたものがあります。
二重窓に使用して必要な機能を増強しても良いでしょう。
【遮光カーテン】
外からの光を遮断することに秀でた遮光カーテンは、室内を暗くすることができます。
子供部屋や寝室など、睡眠をとる部屋に特におすすめです。1
級~3級の遮光段階があり、1級になると完全に光を遮断できます。
【遮熱カーテン】
太陽光の熱を遮断できる遮熱カーテンは、室内の温度上昇を抑えることができます。
南向きの窓や西日が強く入る窓にはぜひとも採用したいカーテンです。
冷房の負担を軽減し、光熱費の節約にもつながります。
【防音カーテン】
屋外からの騒音を軽減できる防音カーテンは、車の音や人の声、工事の音などの騒音を緩和できます。
寝室・書斎といった静かに過ごしたい部屋に適している他、屋外への音漏れを防ぎたい楽器の練習やホームシアターを使用する際にも効果的です。
ただし、あくまでも緩和であり、完全な音の遮断にはなりませんので過信は禁物です。
二重窓にカーテンを取り付けできない場合の対処法
ここまでに紹介した方法でもカーテンが取り付けできない環境の場合の対処法としては、目隠しシートや窓フィルムといった名称で販売されているシートを窓ガラスに貼るというものがあります。
すりガラス調のものから断熱性の高いもの、完全に光を遮るものまで幅広く販売されているので、用途に合わせて選ぶことができます。
ただし、カーテンと違って開け閉めで機能のオンオフができないのが難点ではあります。
二重窓にカーテンをつけると結露する?
「せっかく二重窓にしてもカーテンを付けたら結露した」というコメントもネット上で見受けられます。
原因としては、内窓のガラスとカーテンの間が外気温と近い状態になることで隙間から冷暖房の空気が入り込み、結露を起こすというものです。
特に、内窓のガラスが単板ガラスの場合、外気温の影響を大きく受けるため、カーテンの内側が結露で濡れてしまう可能性が高くなります。
そういった理由から、二重窓にカーテンを付けることを推奨しない業者もいます。
二重窓にカーテンを設置する際には、ガラスがペアガラス(複層ガラス)や真空ペアガラス(Low-Eガラス)であることを確認した方が良いでしょう。
「二重窓 カーテン いらない」を検索する人がよく思う質問4選
まとめ:カーテンをつけるメリットや効果を考えて購入検討を!
二重窓とカーテンとの関係性について紹介してきました。
二重窓は断熱性や防音性においてとても有効なものですが、遮光性や視認性などカーテン無しでは補えない部分も存在します。
既存の窓だけの状態よりもカーテン・レールの取り付けは難しくなるものの、決して不可能ではありません。
カーテンが持つメリットや効果を考えると購入・取り付けする価値は大きいでしょう。
自分でセレクトや取り付けすることが難しそうであればリフォーム業者や工務店に相談してみるのも良いかもしれません。