上の画像を見てわかるように、このような強烈なさびには塗装前にケレン作業が必要で、つまりはケレン作業とは「さび落とし」と言い換えることもできます。(厳密には旧塗膜の除去も含む)
さびの上から塗装しても、塗装が浮いてしまいますから、さびを適切に除去する必要があるため、塗装前に下地処理にケレン作業は必要なものでありますが、ケレン作業の相場とはどのようになっているのでしょうか。
日頃聞きなれない「ケレン作業」で外壁塗装の見積書を見て初めて知るという方も多いですから、こちらではケレン作業が適切な相場になっているのか、平米あたりの単価で確認していきましょう。
ケレン作業の相場・単価
ケレン作業の相場としては、平米あたり300円から2000円までと幅が広いですが、これはケレン自体に種類があるためで、さびや汚れなどが深いほど手間と機材を使って、塗装がしっかりできるように下地処理をしていきます。
実際にどのケレン作業をするかは家の状態によりますので、実際の単価が適切なケレンの種類なのかを知ることが難しい場合に、適切な相場かどうかは判断が難しいという現実的な問題があります。
とはいえ、一定の目安にはなるように説明していきますので、高額なケレン作業の場合には業者に何種のケレンを行うのか聞いてみると、業者側も何も知らない施主ではないということで、良い意味で警戒してくれるかもしれません。
ケレン作業の種類
ケレン作業の種類については、一種から四種まであり、数字が小さいほうが価格が高くなります。
ちなみにケレン一種に関しては家屋では利用されることはなく、ケレン一種が必要なほど劣化が激しい場合には部品交換をしたほうが合理的なことが理由です。(ケレン一種の平米あたり単価は4000円を超える)
ということで、ケレン作業の相場は平米あたり300円から2000円というのは、ケレン二種からケレン四種の相場になります。
ケレン一種
ケレン一種は腐食が激しい場合に使われるもので、サンドブラストなどによる処理で簡単にいえば砂を吹き付けて錆を落とすという大掛かりな作業です。
先ほど話したようにケレン一種は家屋では使われることはなく、部品交換をするというのが一般的ですから、どうしても残したいものである以外は、見積書においてまず見ることはありません。
ケレン一種の単価は平米あたり4000円超と高い事に加えて、わざわざ交換をすればよい部分に塗装をすることは現実的ではないですからね。
ケレン二種
ケレン二種はひどいさびを落とすときにディスクサンダーなどの機材を使って下地処理をする方法です。
一般の家屋ではディスクサンダーなどを使ってケレン作業をした場合には、一番ひどいさびだったということが確認できるかもしれません。
機材を使って出来るところまで行って、あとは手作業をするという点では、ケレン二種は下位のケレン種類を含むものであると言えます。
ケレン二種の単価は平米あたり1500円から2000円と安くありませんが、これをしないと塗装が難しいことがありますので、塗装作業の一つであるという認識で考えてください。
ケレン三種
ケレン三種は部分的にさびが見える状態で利用されるもので、主に手作業でさびを落とします。
さびが全くない状態で外壁塗装を依頼するというのは珍しいこともあって、普通に「ケレン作業」といえば多くの場合にこれを想像する方が多いのではないでしょうか。
ケレン三種の単価は平米あたり500円から1000円ですから、特に高くもなく安くもない費用と言えます。
ケレン四種
ケレン四種はさびがなく表面を掃除する程度のものです。
基本的に外壁塗装を依頼する場合には掃除程度で済むことは少ないために、ケレン四種はほとんど選択されることはありません。
ケレン四種の単価は平米あたり400円前後ですが、外壁塗装をする業者側としても異常がない塗装工事にしたいと考えるために、基本的にはケレン二種かケレン三種が選ばれるために、見積書にケレン四種を見る機会はあまりないでしょう。
ケレン作業で使われる道具
ケレン作業で使われる道具については、大きなさびについてはケレン二種のディスクサンダーが使われ、部分的な小さなさびについては手作業用の金たわしなどが使われます。
また意外に思われることもありますが、旧塗膜も完全に除去するというよりも、多少残すほうが合理的な場合もあるようで、全ての塗膜を落としきるものではありません。
つまり、完全にきれいにすることだけがケレン作業で求められることではなく、目的としては後に行う塗装を基材としっかり結びつけるために行うものになります。
ケレン作業が塗装で重要な工程である理由
化粧をしたことがある方や、重ね塗りをするような塗装をしたことがある方なら、わかってもらえると思いますが、塗装をする上で一番重要なのは下地処理です。
ケレン作業の前には高圧洗浄でカビや塗膜を落としますが、その後に行われる下地処理の一部がケレン作業であり、これをしっかりしないと後に重ねる塗料は浮いてしまったり、はがれてしまう原因にもなります。
つまり、良い塗装工事を行おうとするならば最初ほど肝心であり、業者によっては一番技術がある人や一番責任を持つ人が、確実に行うためにケレン作業をしています。
一般に仕上げ塗装ほど職人技が出そうなものですが、実は下地処理の段階で作業の質が決まってしまうために、ここを新人や下の人に任せられない!というのが理由だそうです。
外壁塗装は安くない家の保守工事ですので、できればこのような業者や職人に施工してほしいものですね。
ケレン作業の相場と単価を見積もりで確認する
最後にケレン作業については、見積書を見てケレンの種類によって単価が異なることから、相場は種類の単価との対応で確認してください。
ほとんどの場合には、ケレン二種かケレン三種になることが多いですが、外壁塗装自体が家の劣化を確認してから依頼することが多いので、ケレン二種が選ばれる可能性が高くなっています。
途中で説明したように外壁塗装に限らず、塗装など重ねるようなものでは下地処理がうまくいってなければ、のちに重ねるものは浮いてしまうので質が悪くなるばかりか、欠陥工事といえるほどの状態になることもあります。
特にDIYで塗装したような場合には、下地処理が甘いことが多く塗装がはがれてしまっているのは、地域のどこかの家で見たことがあるはずです。
そういった状態にならないためにも、ケレンの種類について確認するとともに、ケレン作業の相場や単価も併せて見積もり書で確認するようにしてくださいね。
以上、「ケレン作業の相場と単価:見積もりで適正価格か判別」でした。
お役立ていただければ幸いです。