外壁塗装をするときには足場を組む必要がありますが、見積書を確認して費用を詳しくみたときに意外高い!と思う方は少なくないでしょう。
その点で「外壁塗装に足場は必要なのか?」と思われるかもしれませんが、結論から言えば足場は絶対に必要です。
厚生労働省の労働安全衛生規則518条にも高所作業における安全性が書かれていて、抜粋すれば事業者は高さ2メートル以上の作業について足場を設けなければいけないとありますし、工事の質も作業がしっかりとできることで高まります。
さて、そんな外壁塗装足場ですが妥当な相場かどうかを見ることも大切で、これにより悪徳業者かどうかを判別することもできます。
こちらでは外壁塗装足場の相場について、悪徳業者などを判別するための基準を見ていきます。
外壁塗装足場代は工事費の20%ほどが目安
外壁塗装足場の相場は工事費の20%ほどで、2階建て40坪前後であれば20万円前後の費用になるのが一般的です。
足場の代金に変動があるのは、足場の種類と足場をレンタルか自己所有かで変わってきます。
ただ、意外かもしれませんが足場代で高い金額を請求してぼったくりをしようと考える業者は少なく、多くの業者がレンタルによって足場を利用していることが理由だと考えています。
つまり、自己所有であれば安くできますが、実際には自己所有の場合もしっかり差益をとって儲けていますし、わざわざ足場代を安くすることで営業する風習がないということです。
ただし、ここがポイントなのですが健全な業者ほど、または技術力があって高い金額を請求する業者ほど、足場代を無料にしないということです。
基本的に足場代を無料にできない理由
外壁塗装業者などほとんどの業者が足場をレンタルで利用しています。
その理由としては過去に主流だった単管足場からくさび式足場という種類に変わってしまったことが原因でしょう。
足場の種類については後に詳しく話していますが、レンタルで使うものをわざわざ無料と営業するのはちょっとおかしい話で、この点で何か裏があると考えるべきであるということです。
実は外壁塗装の悪徳業者は訪問販売で営業して安い値段で下請け業者に工事をさせる、という方法がありまして基本的に訪問販売をする営業マンは塗装工事を施工する人ではありません。
そういったこともあって、足場代を無料にするという値引き営業をするわけですが、実際にはレンタルで借りるものを無料にするというのもなかなか変な話であり、こういった営業方法で工事契約を受注した場合には、何かしら手抜きする要素が必要になるということを知っておいてください。
工事見積書で見る請負単価
外壁塗装足場の単価はくさび式足場で平米あたり1000円であり、足場の周りにシートを付ける場合には、さらに平米あたり400円というところが相場です。
一般的な家では外周が200平米ほどとなりますので、足場代の相場としては20万円から25万円ということになります。
上で話したことを考えるとこの相場はレンタル時のものであり、自己所有の足場であれば平米あたり200円前後安くなるものと考えていますが、自己所有だから安くできると主張するよりも、自己所有であってこの単価で請求して差益で少し利益をとるというほうが一般的です。
また、足場料金を日数で出されることはありますが、その場合においても工事費の2割ぐらいであるかどうかも一つのチェックポイントになります。
あまりにも高い足場代であれば、どのような計算なのか説明を求めるとよいでしょう。
あわせて、足場の種類でも足場代は変わってきますので、その点を話していきましょう。
一般住宅の工事で使われる足場の種類
一昔前の外壁塗装工事で使われた足場は単管足場でしたが、現在はほとんどくさび式足場となっています。
これは安全性と作業性によるところが大きく、昔は足場を自分で組むということが多かったのですが、現在は足場を組む業者が足場を持ってきて作って解体するという、他の業者に外注している場合がほとんどです。
つまりは、足場を組むということは塗装業者自体が行うということが少なくなってきているのです。
確かに足場でとれる利益というのはそれほど多くない割に、時間もとられるわけですから外部に依頼したほうが合理的ですね。
単管足場
一番簡素的な足場であり、単管パイプで組まれた足場です。
そのため、足を滑らせて落ちるということは珍しいことではなく、現在主流の足場からすれば危険な分類に入る足場です。
ただし、家と家との間を大きく取れない場合には現在でも部分的に利用されることもあり、全く使われない足場であるということでありません。
相場としては当然現在主流のくさび式足場よりも安いですが、作業効率性や足場を組む時間などを考えるとあまり合理的な選択ではないですね。
単管ブラケット足場
単管足場に作業台を乗せたものが単管ブラケット足場です。
足場としては多少広くなって作業効率性もあがっていますが、基礎部分が単管足場である以上は足場自体が揺れるということに変わりません。
古くから塗装工事を行っている業者で、くさび式足場を採用せずに足場自体を自己所有して、単管ブラケット足場を利用するケースはあります。
くさび式足
現在主流の足場であり、多くはレンタルをして足場を利用しています。
もしかしたら見たことがある人も少なくないと思いますが、「ビケ足場」というトラックに積んでいるのがくさび式足場です。(初見でヒゲ足場に見えた人は少なくないはず)
レンタルをするということは悪いことではなく、むしろ合理的であることはここまで説明した通りです。
そもそも足場代で利益をとるというのは、外壁塗装業者としてはあまりうまみがありませんから、こういった手間がかかって保守が必要な足場を外注するというのは、合理的な考えということです。
無足場工法
無足場工法とは足場を使わない方法であり、超高層マンションなどを施工するときに用いられる方法です。
一般住宅においても使われる機会が出てきましたが、まだまだ主流ではありません。
というのも、基本的に無足場工法はロープなどでつるされた状態から作業をすることで、職人に技術力が必要であること、またロープをつるす場所などが必要になるわけで、一般の家では採用しづらいのが無足場工法です。
またロープでつるさない無足場工法では、別の機材が必要になりますので、結局便利なくさび式足場を採用されるということで、今日ほとんどの利用される足場はくさび式足場を使っているということになります。
足場代を無料にするという勧誘は危険!
ここまで見てきたように、優秀な業者ほど足場で儲けようとしないために、足場代の単価を高くして差益をとろうと考えません。
それならば塗装工事の部分で高い金額を請求したほうが、業者としても潔いと考えるからです。
足場をレンタルすることが一般的である現状では、レンタル品に対してわざわざ大きな利益を乗せて請求するというのは合理的でない、これは単価などを知る人であれば当たり前なのかもしれませんね。
しかしながら、実は足場代で高く請求するという業者がいない反面、足場代を無料にするという勧誘もあります。
実は足場代を無料にするという誘いは危険であり、足場をレンタルする前提であれば足場代を無料にする業者はいません。
ということは、どこかしらでお金を取らなければいけないか、工事自体を安い費用でやらなければいけませんから、どうしても手抜き工事となってしまいます。
前に話したように訪問販売にくる業者にとって、別に足場代を無料にするというよりも、ただ20万円以上下請けに安く依頼するぐらいしか考えていません。
訪問販売がすべて悪いわけではなく、また足場を自己所有する業者がいますので、足場代を無料にすること自体はそれほど難しくないでしょう。
しかしながら現状としては足場代は請求されるのが一般的で、訪問販売において足場代を無料にするから工事契約をしてほしいというような申し出は、現実的でない極めて危険な工事契約である可能性がありますので、よく考えたほうが良いということになります。
外壁塗装足場の相場を理解して業者を判定
ここまで外壁塗装足場の相場を理解することが業者の良し悪しの判断に利用できるということを話してきました。
話が散らばってしまったので、まとめると次の3点をもう一度考えてみてください。
- 足場代の相場は平均すると20万円前後で工事費用の20%ぐらい(外壁塗装足場の単価は養生シート込みで平米あたり1400円)
- 足場の主流はくさび式でありレンタルによって行われる
- 足場代を無料にするという値引きオファーは危険な工事契約となる可能性が高い(特に訪問販売では注意!)
外壁塗装工事は単価が100万円近くになることも多く、日頃から住んでいく家ですので失敗が許されない決断の一つです。
外壁塗装工事についてはわざわざ高い費用を払う必要はありませんが、相場なりの見積もりとなることが多いので、工事費用を安くしようとすれば、質もそれなりになってしまいます。
そういったこともあって、適切な支出を払うことは外壁塗装の質を一定以上に出来る一つの基準であると考えていますので、出来る限り安くしたいというのは大切ですが、あまり極端な考え方にならないように注意が必要です。
外壁塗装足場の相場においてもそのことが考えられる状況となっていますので参考にしてみてください。
以上、お役立ていただければ幸いです。