住宅の外壁に付いている「水切り」という部材をご存じですか?
パッと見で3~5cm程度の帯状の部材で、外装材同士、もしくは外装材と基礎・サッシの間に付いており、デザイン上の見切り材に見えます。
ですがこの水切り、ただのアクセントや飾りではありません。小さいものでありながら建物の状態を維持するために、非常に大事な役割を持っているのが水切りです。
もし破損をみつけたら放置せず、ぜひとも早めに取替えや補修を検討しましょう。
このページでは、建物・住宅においての水切りの機能、後付けしてでも取り付けておくべき必要性など、詳細を解説していきたいと思います。
外壁の水切りを後付けすることは可能?
表題にもしている「外壁の水切りの後付け」。結論から言うと、外壁の水切りは後付けすることが可能です。
外壁の形状によって、後付けの方法は色々あります。
取り付けを検討している箇所に適正の目地幅があれば、その目地奥(構造材)に取り付けられるように加工・製作して取り付けられます。
そのように納めるのが難しければ、外壁を切り込み目地を作る、もしくは外壁自体に取り付けるなど、住宅の形状に合わせた施工方法を検討することになります。
いずれの場合も、施工部から雨水が侵入しては本末転倒なので、水の流れをしっかり考慮することが必要です。
そういった理由から、自分で取り付けることは難易度が高い上に隠れた施工不良の危険性をはらんでいるのでおすすめしません。
水切りの施工不良は建物の劣化に直結するものです。
パッと見できれいに納まっていたとしても本来の機能を発揮できず、後から広範囲な修繕が必要になる恐れがあります。
水切りを後付けする場合は既製品を使用できる可能性は低く、取付箇所に合わせて業者(主に板金工)が製作することになります。
そもそも外壁の水切りとは?
前項で少し触れましたが、改めて水切りの役割を説明したいと思います。
水切りはその名の通り「水を切る」ものです。外装材と基礎、外装材同士のジョイント部などに取付けし、建物の内部(構造部)に水が浸入するのを防ぐ役目を担っています。
水切りの中でも代表的かつ重要なものは、基礎上に付いている土台水切りです。土台水切りが無い、または破損していると土台に雨や雪などの水分が浸透します。
土台水切りの不具合を放置していると、土台をはじめとした構造材が徐々に腐ってゆくでしょう。
他に、水切りは白アリやネズミなどの害虫・害獣の侵入を防ぐのにも一役買っており、建物の機能を維持するにあたって非常に重要な部材なのです。
外壁の水切りを修理または交換することは可能?
外壁の水切りは修理や交換も可能です。というよりも、破損が発生した場合には修理や交換をすみやかに検討すべきものです。
土台水切りなどは既製品も存在し、新築時であれば外壁のサイディングを張る前に設置することがほとんどです。
修理や交換の場合はサイディングを剥がして取り付けることが難しいため、剥がさずに取付けできる形状に製作してもらう必要があります。
既製品は建材店やネットショップで購入することもできますが、修理の場合は塗装工、製作する場合は板金工などに相談・依頼することになります。
水切りの修理や交換が必要な状態とは?
色あせやサビ
水切りの色があせているのは塗装が劣化しているということです。塗装には見栄えはもとより、サビや腐食から守るという大事な意味もあるので、塗装の劣化はサビに直結します。
サビをさらに放置すると、いずれ穴あきや割れに発展し、そこから雨水が建物の内部に侵入する恐れが出てきます。
色あせや軽度のサビの段階で修繕が行えるのなら、対処としては「再塗装」になるでしょう。
サビを落としたうえでサビ止め塗装~仕上げ塗装とお願いできれば、建物の立地にもよりますが、おおよそ10年は持つと言われています。
へこみ
小さい・浅いへこみであればそれほど気にすることはないのですが、変形が大きい場合は修理や交換なども検討しましょう。
特に、外壁との隙間が大きくなってしまった場合などは、そこから雨水が侵入する可能性があります。
早急に修繕を検討しましょう。
程度によってはパテでへこみを埋めたうえで塗装をすることで修繕可能な場合もあります。
破損
割れや欠けなどの破損が発生していて補修も難しい場合は、破損箇所の撤去を行い、新しい水切りの製作・交換を検討した方がいいでしょう。
先にも触れたように、破損個所から雨水の侵入を防ぐ為、できるだけ速やかに交換を行いましょう。
少なくともむきだしのまま雨ざらしになる状態は避けるべきです。
ステンレスやアルミ製の水切りも存在しますが、それらの場合、塗装補修は基本行いません。
塗装を行っても塗膜が定着しずらく、短期間で剥がれが生じてくる可能性が高いからです。
外壁水切りの修理費用はどれくらい?
業者に依頼して水切りを修理する場合、どの程度の予算をみておけば良いのでしょうか。
塗装補修で済む場合は、1メートルあたり¥500前後から請けている業者が多いようです。
ただし、修理箇所が1メートルだけで済むという場合でも、一度依頼することで最低限の施工費(人件費)は計上されるでしょう。
最低料金として一式価格で\15,000円くらいからが相場と考えておきましょう。
外壁水切りの交換費用はどれくらい?
修理では収まらないくらい既存の水切りが破損している場合は、部分or全面交換になるでしょう。
新たに板金(ガルバリウム鋼板など)で製作し、それを取り付ける場合は最低\50,000くらいは見ておいた方が良さそうです。
水切りの製作金額をメートル単位で表記している業者も存在しますが、施工費も併せての見積もりは必須かと思います。
水切りの種類は?
土台水切り
外壁と基礎の間、ちょうど土台がある部分に取り付けられる水切りが土台水切りです。
土台の木材には基本、防腐剤や防虫剤が塗布されていますが、それでも雨水が侵入したり外気にさらされ放しでは、やがて腐食してしまいます。
土台をはじめとした構造材を守るために、土台水切りは非常に重要な建材です。
中間水切り
台風や豪雨などの際の大量の雨水を効果的に分散し、壁内部や基礎部分への浸水を防ぐのが中間水切りです。
建物の中間部(1階と2階の間など)に取り付けられます。
大きな建物であったり、外装材が吸水性の高いものであったりする場合に取付が検討されます。
窓下水切り
サッシと外壁の取り合い部から雨水の侵入を防いでいるのが窓下水切りです。
窓下から雨水が伝って外壁に水垢の跡が付くことを防ぐ役割もあります。
出幅によって効果も違ってきますので、建物をきれいに保ちたい人は形状にこだわりたい部分でもあります。
外壁水切りはDIYできる?
水切りを作ったり取り付けたりをDIYで行うのはおすすめしません。
なぜなら水切りの施工不良は建物の劣化に直結するものだからです。
表面上きれいに仕上がっていても施工不良はあり得ます。
それに気づかず、長期にわたり雨水構造材に浸水していた場合、土台のみならず柱や間柱などの構造材全体の腐食につながります。
そうなってしまうと、外壁を剥がして修繕することになり、莫大な費用と工期がかかってしまいます。
板金工事の経験者でもない限り、業者に依頼するのが得策でしょう。
「外壁 水切り 後付け」を検索する人がよく思う質問4選
まとめ:外壁の水切りは後付けも可能なので専門業者に相談を!
ここでは、水切りの種類やその役割、そして破損した場合の修理の必要性を解説してきました。
建物全体から見たら非常に小さなパーツである水切りですが、建物の寿命にも大きく影響を与える大切な存在であることがおわかり頂けたかと思います。
破損している、もしくは存在しないという場合にも、業者に頼めば後付けすることは可能です。
納まりがシビアな部材なので自分で修繕するのは難しいですが、機能していない状態のまま放置しておくと建物へのダメージが心配な部分ですので、できるだけ早く施工業者に相談・依頼しましょう。
なお、実際に修理を行うのは塗装工や板金工になりますが、家を建てたときに依頼した工務店などと付き合いがあれば、そこを窓口にして工事の発注をすれば、修繕内容や依頼先がわかりやすいかもしれません。
また、自分で業者を探して依頼する場合は、他のリフォーム工事同様、何件かの業者に見積もりをとる(相見積もり)ようにすると安心です。