ガルバリウム鋼板は、軽量でありながら耐久性も高く、屋根材や外壁材として高いシェアを誇っている素材です。
その一方で、外壁に使用して「後悔した」という意見も見受けられます。
ここでは、ガルバリウム鋼板を実際に住宅に採用した人が後悔をしたポイントや、後悔しない対処法なども紹介していきます。
外壁をガルバリウムにすると後悔する?
他の外壁材と同様にガルバリウム鋼板にも長所と短所が存在します。
外壁の仕上げにガルバリウム鋼板を選んで後悔するという場合は、短所(デメリット)を認識できていないことによるものが多いです。
あらかじめ特性を理解しておけば、予想外の損傷にショックを受けることも少なくできますし、必要なメンテナンスも検討しやすくなります。
また、ガルバリウム鋼板を施工することに長けた、実績が豊富な工事業者に依頼することや、ガルバリウム鋼板を使用した設計(デザイン)を得意とする工務店に依頼することも重要です。
外壁をガルバリウムにすると後悔すると言われる理由
錆びることがある
ガルバリウム鋼板の間違った認識として多いのが「錆びない」というものです。
トタンなど他の金属素材に比べ「錆びにくい」ことで重宝されているガルバリウム鋼板ですが、あくまでも金属なので「錆びない」わけではありません。
表面に施したメッキによって汚れや錆びから守っているのがガルバリウム鋼板です。表面のメッキが剥がれるほどの傷ができると、そこに水が入り込むことで錆びてしまいます。
それが小さな錆でも、徐々に範囲を広げて大きな錆びへと発展してしまう危険性があるのです。
メンテナンスを怠ると、かなり痛々しい損傷になり得るので、小さな傷でも早めの修繕を心がけましょう。
凹みやキズがつきやすい
ガルバリウム鋼板は厚さ0.4mmの非常に薄い鋼板で形成されています。
金属ながら比較的軽量なため扱いやすい反面、ちょっとした衝撃で表面にキズ・へこみなどが発生しやすいです。
また、キズは目立ちやすく、錆びの発生にもつながります。他の外壁仕上げ(窯業系サイディングやモルタル仕上げ)の堅牢さ、キズの目立たなさを考えるとデメリットと言えます。
ガルバリウム外壁はダサいと感じる人がいる
どんな建材もデザインが伴ってこそおしゃれに見えるもの。鋼板は使いどころを間違えると倉庫や工場っぽさを感じさせるなど、いわゆる「ダサい」ものにもなり得ます。
金属サイディングを設計に取り入れた実績が無い・少ない業者に依頼してしまうと、「こんなはずでは…」となりかねません。
ガルバリウム鋼板などの金属サイディングを外壁に使用したい場合は、
- そのハウスメーカー・工務店が得意とする建材やデザインを見極めて契約する。
- 外観パースや過去に建築した物件を見せてもらう。
など、入念な打ち合わせが必要でしょう。
一般的な外壁より価格が高め
ガルバリウム鋼板製の金属サイディングは、窯業系サイディングに比べて価格が高めです。
ここ数年の建材の価格高騰の中でも金属は値上がりが著しく、様々な費用を検討する必要がある注文住宅において悩ましい要素でしょう。
ただし、金属サイディングをメインの外装材として採用しているハウスメーカーであれば、普段から大量仕入れしている分、他業者よりも安く使用できる可能性があります。
デザインの他、価格面でも業者選びは重要です。
製品によっては断熱性能が低い
鉄板の表面に錆びに耐久性のあるメッキを施したものがガルバリウム鋼板です。
つまり「鉄板」なので、強い直射日光を受けると熱を持ちやすく、単体では断熱性能が低い可能性があります。
屋根や外壁に使用する場合は、輻射熱が室内に伝わらぬよう断熱処理を別途施す必要があると考えておきましょう。
高性能断熱材を芯材に使用している、断熱性の高いガルバリウム鋼板サイディングも多数存在します。
製品によっては遮音性能が低い
ガルバリウム鋼板の薄さや軽さはメリットですが、厚さや重さで性能が上がる「遮音(防音)性能」においてはデメリットとなります。
金属サイディングを使用する際は通常より断熱材を厚くして防音性を確保するなどの対策をとるのが一般的です。
使用実績が少ない業者の場合、対策が不十分になりえるので要注意です。
ハウスメーカーによっては取り扱いがない
ハウスメーカーにもそれぞれ得意な工法・建材があります。
得意な工法以外で依頼すると施工費用が高くついたり、最悪施工を断られることも考えられます。
ガルバリウム鋼板の外装材を取り扱っていない業者に無理に依頼すると高額になったり、仕上がりにも後悔する可能性が高いです。
外壁をガルバリウムにして後悔した口コミや知恵袋の声
住宅関係の仕事をしてます。
先日、ガルバリウムの外壁の家の施主さんに相談されて、家を訪ねたのですが想像以上に凄かったです。
リビングでは気が付かなかったのですが(エアコンが入っていた)、お手洗いをお借りしたときに、壁からもわっと熱を感じました。
施主さんにお聞きするとエアコンなしでは過ごせないそうです。
壁はグラスウールの断熱材だそうですがまったく無意味でした。玄関周りは使うものではないと言われてました。まだそれほどの築年数ではないですが、玄関周りはいろいろと接触やすれがあるようで傷やえくぼだらけでした。
さびについては築年数が浅いので問題なかったです。
冬も恐ろしく寒いそうです。断熱材の入れ替えを提案して帰りました。
凍害とか少ないので日本でも北の方でなければ検討は避けた方が良いと思います。
新築を建てて、2ヶ月が経つんですが、先日外壁のガルバリウムの部分に何かが当たったような凹みを見つけてしまいました。しかも真正面なので、ショックが大きいです。
その部分だけ補修したら、逆に目立ってしまうとハウスメーカーさんに言われ、触らない方がいいと言われました。直すとなったら、ガルバリウムは全部剥がしてやりかえるしかないらしいです。
このまま今のままで見て見ぬふりがいいんでしょうか?
それか何年後かにサイディングにやりかえるか。
ガルバリウムはおしゃれがゆえに選んだんですが、デメリットもよく知っておくべきでした。
外壁をガルバリウムにしたの失敗だったかも…軒下の白錆が目立つ…
— かじまーる (@kjrmshan) May 19, 2024
1年でこれってことは数年でやばいことになりそう pic.twitter.com/jxG3S2jXkk
ガルバリウム鋼板の外壁に対して後悔されている人の口コミは少なからず存在します。デメリットを知るためには有効ですが、先入観や価値観の違いによるアンチなコメントもあるので、しっかり見極めましょう。
ガルバリウム外壁で後悔しないための対策は?
住宅の外壁材にガルバリウム鋼板を使用したいと考えている方へ、後悔しないための対策を紹介します。
ガルバリウム鋼板の特性を正しく理解する
新築やリフォームをする際には、実際に使用する建材の特性を知っておくことが大変重要です。
ガルバリウム鋼板の場合は「耐久力が高く軽量で施工性に優れている」ことや「表面に錆びにくい加工が施されている」ことなどのメリットだけを何となく認識しているという方が多いと思います。
「傷がつきやすくへこみやすい」「錆びる可能性はある」「傷を放置すると錆びやすくなる」といったデメリットを理解し、大きなトラブルに発展する前にメンテナンスを行いましょう。
メンテナンスを定期的に行う
「ガルバリウム鋼板は耐久力が高いからメンテナンスは不要」と間違った認識をすると、トラブルが大きくなってしまうのは先に説明した通りです。
他の建材と同様、良好な状態を保つためには定期的なメンテナンスを行うことが大事です。
特に注意すべきは、知らないうちに強風など天災時の飛来物で表面に付く小さな傷です。
その傷から錆びが進行し、いつの間にか大きな損傷に、といった可能性もあるのです。
ちなみに、ガルバリウム鋼板製のサイディングには定期的なメンテナンスが行われることを前提とした長期的保証が備わっています。逆に言うと、メンテナンスを怠っているとみなされると、保証の対象外になる可能性があります。
- 不可抗力現象、台風・地震・落雷・酸性雨・降雹・氷雪落下などの異常な気象条件による損傷
- 火災・戦争などによる損傷
- 鋼板表面や合わせ面に付着・堆積した切粉、加工屑、落ち葉、動物の排泄物、粉塵などが原因の損傷
- 雨水による洗浄効果が期待できない(雨がかからない)箇所の損傷
- 所有者や入居者・管理者が維持管理を怠ったことによって発生した損傷
ガルバリウム鋼板を使用した事例の確認
ガルバリウム鋼板などの金属サイディングを使用した過去の施工事例を見せてもらいましょう。
金属サイディングを使用した設計を行っているか、どんなデザインに仕上がっているかが併せて確認できます。
過去に金属サイディングを使用していないハウスメーカーに依頼するのはおすすめしません。
技術的にもデザイン的にも、過去に実績がある業者に依頼しましょう。
それと同時に、金属サイディングの外観が自分の感性に合っているか、改めて確認しておくと良いと思います。
ガルバリウム外壁の10・20・30年後は?
耐久年数が20~30年と言われているガルバリウム鋼板。導入して10年後・20年後、そして30年後にどうなっていくのでしょうか?
ガルバリウム外壁の10年後
10年後の変化としては「色あせ」があります。
新築後10年程度の経過で塗装の光沢・ツヤは消えて色あせが発生していると考えられます。特に、ブラックやダークグレーなどの濃い色では、色あせがわかりやすいしょう。
ガルバリウム外壁の20年後
20年程度経つ頃には腐食・錆びが発生する可能性が高くなります。
軒下などの雨がかりの無い場所の他、傷がついている部分から錆が発生し、劣化が進行している可能性が高いです。
ほこり・湿気が溜まりやすい場所から腐食が進行していることも考えられます。
この年数くらいで塗り替えを検討したいところです。
ガルバリウム外壁の30年後
30年後の情報はあまり見受けられませんが、メンテナンスが行き届いていない箇所は錆びが進行し「穴あき」になっている可能性があります。
一方で、周囲環境が良く、メンテナンスも行われていていれば、35~40年以上耐久性が維持できた例もあります。
ガルバリウム外壁の費用
ガルバリウム外壁のリフォーム費用
ガルバリウム鋼板のサイディングは窯業系のサイディングに比べ軽量で、重ね貼りしても建物の負荷が少ないため、リフォームに向いている素材と言えます。
一軒家の外壁をガルバリウム鋼板のサイディングでリフォームする際の費用の相場を見ていきましょう。
【既存の外装材を撤去しての貼り替え:約140~270万円】
施工面積・既存の外装材の種類・新規の外装材のグレードなどで変動する他、構造材に損傷があればその補修費もかかります。
【既存の外装材の上に重ね貼り(カバー工法):約120~260万円】
貼り替えに比べて既存外装材の撤去費・処分費が発生しない分割安になり、工期も短縮できる場合が多いです。
ガルバリウム鋼板のサイディングの施工費は0.5~1.3万円/㎡程度ですが、足場掛けやシーリングなどの費用が別途かかります。リフォームの際は業者に現地調査してもらい、見積もりをもらうことが必須です。
ガルバリウム外壁のメンテナンス費用
ガルバリウム外壁のメンテナンスとして一般的なものの費用相場です。
- 塗装:約60~180万円
- コーキングの打ち替え:約15~20万円、増し打ちの場合約12~17万円
- 部分貼り替え:約10~30万円
なお、日常的な手入れとして、「表面の汚れを水で洗い流す」というものがあります。素材が薄いため、高圧洗浄では傷・へこみができる可能性があります。水圧に注意しながら、2~3カ月に1回程度行うと効果的です。
外壁をガルバリウムにするメリット
錆びにくい
ガルバリウムはアルミニウム55%・亜鉛43.4%・シリコン1.6%からなる、合金をメッキ処理した鋼板で、錆びにくい金属として開発された素材になります。
トタン(亜鉛メッキ鋼板)などと比較して3~6倍の耐久性を持つと言われています。ただし、他の金属に比べて錆びにくいのであって、錆びないわけではありません。
軽量で作業しやすい
窯業系サイディングなどに比べてかなり軽く、作業能率が上がるため、工期の短縮も期待できます。
また、外壁の重ね貼りを検討する場合も、構造体への負担を軽減できますので、リフォームにも適している素材と言えます。
高い耐久性・長い耐用年数
適切なメンテナンスを行っているガルバリウム鋼板は、他の素材の外装材に比べて耐用年数が長いと言われています。
トタンと比較して数倍、高いシェアの窯業系サイディングに比べても長持ちとされています。
加えて、窯業系サイディングに比べ耐久性が高く、メンテナンススパンも長くなります。
塗装工事の必要性で比べてみると、窯業系サイディングは10年程度に1度を推奨されていますが、ガルバリウム鋼板の場合は20年程度が目安になっています。
ガルバリウム外壁の種類
金属の質感を活かしたシンプルな種類として以下のようなものがあります。
- 小波ガルバリウム鋼板:山と谷で陰影が生まれる。柔らかな印象
- 中波ガルバリウム鋼板:小波よりもピッチが大きい
- 角波ガルバリウム鋼板:シンプル形状で控えめな印象
- スパンドレル:角型リブでシャープな印象。釘が表に現れない
ガルバリウム外壁でおすすめのメーカー
金属外装材の専門メーカーで2022年度の金属サイディング販売数量ナンバーワンを達成。金属の質感を活かしたシンプルなものから、石・タイル・木目などの自然素材の質感を再現したものも存在します。
窯業系サイディングで人気のニチハにも「センターサイディング」という高耐食ガルバリウム鋼板のラインナップがあります。パターンの選択肢も豊富です。
外装材の大手ケイミューにもガルバリウム鋼板のラインナップが存在します。断熱性の高さや結露の発生を防止する通気工法、色あせを防ぐ遮熱性フッ素焼付塗装が施されているなど、高い機能性を誇ります。
リクシルグループの旭トステム外装にも「スパンサイディングS・N」などの金属サイディングシリーズが存在します。従来の3倍強の耐食性や防火性能を向上させるなど、機能性も高いです。
一般的なガルバリウム鋼板の3倍の耐食性を持つ他、雨で汚れを洗い流すセルフクリーニング機能を持つ「ニクスカラーSGL」のラインナップがあります。
サッシやドア、シャッターなどで有名なYKK APにも「アイアンベール」というガルバリウム鋼板のサイディングがあります。芯材に優れた断熱材が使用されており、省エネ効果が高いのも特徴です。
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まとめ:ガルバリウムは業者選びも重要!
ガルバリウム鋼板についてアンチな意見も飛び交っていますが、その性質を把握して使用すれば高い耐久性や寿命の長さなどのメリットが活かせるかと思います。
ガルバリウム鋼板の外壁材の良さを堪能するには、使い慣れた設計・施工業者を選ぶことが非常に重要と言えます。
施工事例を見る、見学会に足を運ぶなどして、ガルバリウム鋼板を有効に使用している業者を探してみましょう。